2011年2月14日月曜日

八ヶ岳 真教寺尾根



2/11-13の3連休。本当は真教寺尾根から赤岳東稜を経て赤岳、
横岳、硫黄岳を通り、GOALは渋ノ湯という欲張りな計画を
立てていた。
バリエーション入門の赤岳東稜でナイフリッジの雪稜を通り、
東面なので日の出を見て、滑落の絶対許されない横岳周辺の
緊張感のあるトラバース、そして最後は温泉・・・と雪山の
魅力を十分詰め込んだ計画のはずであった。

週中から毎日、天気予報をチェックしていたがどうも良くない。
11日は東京でも雪が降るということであった。
実際、新宿から電車に乗ったときは雪ががんがん降っていた。
ならば八ヶ岳はどうなっているのか?

天気は心配であったが、入山口の真教寺尾根ならば、先月、
下見したばかりだし、危険なところもないので最悪、
真教寺尾根から西面に抜ければいいや、ということで出発した。

現地に行ってみると先月とは比べ物にならないくらい雪が
多く、連日、ラッセルであった。
赤岳東稜に取り付くことすらできず、心教寺尾根から赤岳
に登り、美濃戸に下山するのが精一杯であった。



メンバー:かいちょう、ワダさん

2/11(金)
新宿発スーパーあずさで出発。窓の外は雪。





tenki.jpによると


午前9時は紀伊半島から関東にかけて雪や雨が降っています。
これは低気圧や前線に伴う雲で、
この低気圧の北上に伴い、
あすは東北の太平洋側まで雪の範囲が広がります。
また、次の気圧の谷が西日本か再び東日本を通過するため、
今夜にかけて、一旦雪がやんでも、
あすはまだ西日本から東日本で雪の降りやすい状態が続くでしょう。。


ということらしい。
清里駅で3日目に一緒に頑張ることになる、山泉会の
カワバタさん、ババさん、ミヤサカさんとエール交歓をする。
当たり前だが、清里でも雪は降り続いている。しかし、南岸
低気圧の影響で降っている雪のせいか、八ヶ岳にしては湿った
雪である。しかもそんなに寒くない。

清里からタクシーでスキー場に向かう。が、駅から少しいった
ところで渋滞しておりストップ。動き出す気配がないので先を
見てみると交差点のとこで先頭がストップしている。
道路が凍結していてスキー場までの坂を上れない車が多いみた
いだ。
仕方ないのでタクシーを降り、スキー場までの約1.5kmを歩く。
その間に、山泉会の乗ったタクシーにびゅーんと抜かされてし
まう。焦っても仕方ないのでスキー場でソースかつ丼を食べ
エネルギー補給をして、リフトに乗り1,900mまで上がる。

ここから先はトレースは付いているので素直に使わせてもらう。
今日はとにかく先に進んでおきたい。
最初は順調に進むも段々、ずぼっ、ずぼっとはまるようになる。
トレースを追っているのに!トレースを見ると山泉会はスノー
シューを使っているようだ。我々はツボ足。

扇山近辺でテント設営をしていた山泉会に追いついた。
当たり前だがそこから先にあるトレースは数日前のトレースで
ひざくらいの高さのラッセルになり、スピードが落ちる。
17時前くらいまで頑張ったところであきらめ、テント設営に
とりかかる。ここまできても寒さは感じない。
風はあまりないものの、雪は降り続いている。


2/12(土)
5時に起き、7時過ぎに出発。
トレースはうっすらと残っているだけでほとんど埋まっている。
踏み固められた後を足で探りながら進む。それを外すと腰まで
埋まるような雪の量だ。八ヶ岳特有の乾いた雪で踏んでも踏んでも
足場が固まらない。この寒さの中、ラッセルをしているとあっと
いう間に疲れてくる。もうザックを降ろして空身でトレースを作っ
た方が速く進むと判断した。とにかく頑張っても頑張ってもそれ
に見合った成果が感じられない。精神的にもぐったり。。




11時前にやっと赤岳東稜へトラバースする2,500m地点に到着。
この時はまだ、東稜を登ることをあきらめてなかった。
しかし、もう渋ノ湯まで行くのはあきらめた。日程はもう1日ある
のだから真教寺尾根でもう1泊して、明日、進むか戻るか判断する
ことにした。天気も回復しそうな気配がない。テント設営の準備を
していると山泉会の3人が追いついてきた。彼らは今日、西面に
抜けるという。じゃあ、明日はトレースが期待できますね、と
言い見送る。

テント設営後、空身で東稜の取り付きへトラバースを試みる。
東稜へは小さな沢を超え、小さな尾根を登り、再び大門沢を超え
東稜へ這い上がることになっている。が、小さな尾根に上がるこ
ともできない。すかすかの雪で踏んでも踏んでも足場ができない。
えいやと、上がると腰まで埋まる。。
もう東稜はあきらめよう。



テントに戻り、ワダさんが作ってくれたベーコン玉ねぎ炒めを食べ
昼寝をした。とにかく疲れた。16時頃寒くて目が覚める。気のせいか。
いや明らかに寒い。今回、使ったテントはモンベルのステラリッジ2
で外張りは冬用ではなく、夏用のレインフライだ。そのため防風が
完璧ではなく、すきま風が入ってくる。
みるみる気温が下がってくる。なんでなんでなんで。
息も白い。風も強くなってきた。まさか、低気圧が通過中なのか。



<<低気圧が通過中>>

今日は寒過ぎて寝られないんじゃないか、と思っていたら、19時を
過ぎたくらいから風も弱くなってきた。寝る前にテントの外に出た
ワダさんによると星も出てるとのこと。明日は晴れるのか。


2/13(日)
4時過ぎに起き、6時過ぎに行動開始。テントの外に出てみると
東の空が赤く染まり始めている。富士山もくっきり見える。
天狗尾根の大天狗・小天狗をはっきる見える。快晴だ!


富士山もばっちり

だが、昨日、山泉会が作ってくれたトレースは消えかけている。
トレースの上なら膝までのラッセル。トレースを外すと腰まで
埋まるラッセル。本日はスピード優先なのでトレースを外さない
ように進んでいく。しばらく進むとモルゲンルートでピンク色に
なった赤岳が見えてきた。

あれが赤岳だ!

振り返ると日の出。

これが東面の醍醐味

テンションも上がり、はりきってラッセルに取りかかる。



1時間くらいすると上から「オーイ」と呼んでる声が。
見ると山泉会だ。西面に抜けられなかったのか。まあ
この雪では仕方ない。ここからは5人で合同ラッセル隊
を結成し進んでいく。山泉会のテントサイトから先は
雪が深い。胸の高さのラッセルが続く。
トップが空身になってとにかく雪を削り、セカンド以降
が雪を押し固めステップを作っていく。短時間でトップ
を交代しながら進んでいく。2人の時よりも格段にスピ
ードが上がる。

山泉会と一緒に進む

それでも岩稜帯が始まる2,650m地点に着いたのは9時半。
テントを出てから3時間が経過していた。150mの高度を
稼ぐのに3時間かあ。
岩稜帯といっても雪がべったり付いてるので相変わらず
雪を削りながら進む。先月はなんでもなかったところが
立派な雪稜に変わっていた。


天狗尾根の向こうにはアルプス





急な斜面を抜けると安定したテラスに出た。
右手には東稜が見える。ナイフリッジがうねうねと続いて
いる。いつかあそこを登りたい。下方には野辺山。遠くの
富士山やアルプスもよく見える。大天狗を巻いているトレ
ースまで見える。見上げれば青い空に舞う雪煙。
全てがくっきり見える。
心が喜びで満たされている。
2日間粘ってきてよかった。
ここまでラッセルを頑張ってよかった。
全てがそろって、この充実感がある。



ここから先も沢のトラバース、頂上直下の微妙なバランス
クライミングと、ラッセルでへとへとな身にはきつい所が
あった。しかし、やったぞ!という気持ちで一杯だった。

頂上直下の岩稜帯を左に巻いていく


赤岳沢の上部をトラバース




山泉会の皆様、ありがとうございました!

■コースタイム
2/11(金)
12:15 サンメドウズ清里スキー場(雪)
12:30 真教寺尾根1,900m(雪、0℃)
16:30 真教寺尾根2,300m(幕)

2/12(土)
7:30   真教寺尾根2,300m
11:00 真教寺尾根2,500m(幕)(雪、-15℃)

2/13(日)
6:30  真教寺尾根2,500m
9:30  真教寺尾根2,650m
11:30 赤岳山頂(2,899m)
13:00 行者小屋
14:30 八ヶ岳山荘

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